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2016年12月21日

【Malabar Cuisine】ケーララに於けるイスラム教徒マーピラとその料理


ケーララ、特に北ケーララはインド史上最も早くキリスト教/イスラム教/ユダヤ教がもたらされた地域である。ケーララに於けるイスラム教は7世紀ごろに海路、交易のためにアラブからやってきた商人たちによって特にケーララ州マラバール地方にもたらされ、彼らの定住化と共に徐々に浸透・拡大していった。これは北インドに於いてイスラム教がトルコ系またはアフガン系のイスラーム政権による、主に軍事的侵略に伴う形で陸路もたらされたのよりも早い。





イスラム教も発生した直後にアラビアから海路、アラブ商人によってごく早い段階でケーララに流入された。こうした事情から、インド最古のモスクとされるCheraman Juma Mosqueはケーララ州Thrissur県に西暦629年に建設されたという。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cheraman_Juma_Mosque

ちなみにモスクがインド最初であるだけでなく教会もシナゴーグもインド史上最初に建設されたのはケーララに於いてであったという。7世紀以降もアラブからの商人や神学者などの渡印は断続的に続き、ケーララは宗教や食などの文化面でアラブの影響を受けている。





マーピラmappilaまたはmoplahはケーララ州に於いてマラーヤラム語を母語とするムスリムを指す。
マーピラは特に北ケーララのマラバール地方に多く居住する。
マーピラの起源を、7世紀以降に土着したアラブ商人とケーララ女性との末裔だとする伝承もあるがそれはごく限定的であり、実際には、特に18世紀の英領地代にアラブから渡印してきたスーフィーなどの神学者/宗教指導者たちによって改宗されたヒンドゥー教徒の下層カースト出身者が大半とされる。

彼らマーピラの間にも同じマラバール地方に住むムスリムとは言えヒエラルキーはあり、比較的裕福なマラバール地方沿岸部に居住するマーピラと元来小作の水田農作業従事者が多かった内陸部に居住するマーピラには経済的に大きな格差が存在した。1970年代にガルフ諸国が外国人労働者を受け入れを開始すると内陸部マーピラはいち早く出稼ぎに行き、現在ではこうした経済格差は解消されているが、最近まで沿岸部のマーピラと内陸部のマーピラで通婚すら一般的ではなかったという。

こうした背景から当然沿岸部と内陸部とで食文化もかなり異なっていおり、いわゆるMalabar cuisinesマラバール料理としてメディアなどに紹介されているのは、豊かな海産物を中心とした食材を多用した沿岸部マーピラの食文化である。





ちなみに食文化に於けるアラブ圏からの影響は、Alisa(小麦の肉入りポタージュ)、Kiskiya(アーター=全粒粉の肉入りミルク粥)、Kozhi Nirachathu(卵やダールやハーブ類を鶏に詰めた料理)などのマーピラ料理に色濃く見てとれる。Alisaは婚礼の際に食される料理であるが、マーピラの婚礼前夜(Mailanchi)には祝膳としてNeichoruネイチョール(ギーで味付けされたライス)が、婚礼当日の夜にはビリヤニ(カイマライスという短粒米で作られたマラバール特有のビリヤニ)が食べられるという(※婚礼前夜の他に、ナーチャと呼ばれるジャーラムでの慰霊祭に於いてもネイチョールは配られるお祝い料理である)。またMutta MalaムッタマラとPinjanathappamピンジヤナッタッパムという卵で作られた、黄色と白という見た目にも鮮やかなお菓子も婚礼式に於いて食べられる。

婚礼から一夜明けた翌朝、新郎新婦及びその家族と親族は次のような豪華な朝食を食べる。
---Kozhi Nirachathu(卵やダールやハーブ類を鶏に詰めた料理)とPathiri(米粉のロッティ)、カレー数種プットゥとバナナKanjiカンジ(マッタライスで作られたココナッツミルク入りの粥)、チャイなど---

またムスリムであるマーピラにとっての最大の祭礼は断食月ラマダーンであるが、日中の断食が明けた後の食事=イフタールが水とデーツで始まった後、Pathiri(米粉のロッティ)と共に豊富な肉・魚及びデザートが食べられる。年間を通じて最も多彩なマーピラが見られるのはこの時期に於いてである。





一方、標準的な日常食の一例は次のようなものである。
朝はVellappamウェッラッパン(米粉のパンケーキ)とエッグカレー、またはプットゥとMeen(魚)のカレー
昼はイエローマッタライスにMeenのカレー
夜はKanjiカンジ(マッタライスで作られたココナッツミルク入りの粥)とPathiriなど。



---以上参考『Marabar Muslim Cookery』Ummi Abdulla著 Orient Black Swan発行
(アジアハンターにてご購入出来ます。お問い合わせ下さい)



以下、ケーララ旅行に関して非常に役に立ったサイト。

Tasty Spots-ケーララ全土のレストランガイド。掘立小屋のような看板すらないような店まで網羅しているのに驚く。
http://tastyspots.com/kerala/foodspots/kadalundi-meenkada/

ケーララにおけるイスラム史に関してはPeriploさんによるページが大変参考になりました。さすがです。
http://periplo.mond.jp/cgi/mt/archive1/2011/04/post_399.html

こちらの論文もケーララにおけるイスラム史やジャーラム(いわゆる北インドのダルガー=聖者廟的なものから、対ヒンドゥー地主やポルトガル軍・英軍との戦いで殉教した戦士を祀る廟までを含む)、ナーチャと呼ばれる慰霊祭などについて。
http://www2.scc.u-tokai.ac.jp/www3/kiyou/pdf/2011vol9_1/kawano.pdf






posted by asiahunter at 17:00| Comment(0) | ■インドの旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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