2013年07月08日

シェムリアップのインドレストラン

アンコールワットで有名なカンボジアのシェムリアップにもインドレストランは存在する。しかも決して大きくない街にもかかわらず13〜14軒ものインドレストランが存在するという。その中には北インドまたは南インド出身者が経営している店もあれば、パキスタンやスリランカなどインド周辺国、またマレーシアなど東南アジアに在住していたインド系移民が経営している店までバラエティ豊富で非常に興味深い。

India Gate
オーナーはインド料理コック排出地として随一のガルワール出身(Tehri Garhwal県)。バドリナートとかケダルナートなどヒマラヤ聖地の写真と共に自分の一族の集合写真が大きく引き伸ばされて壁に掲げられている。店ではオーナーの親戚のガルワール出身男性も一人一緒に働いている。開業して約8年弱だという。元々デリーのホテルなどで勤務していたが、東南アジアのオーナーに招聘されたのをきっかけにマレーシアやタイなどで転々と勤務した後さらに招へいされてシェムリアップに来たという。どのようないきさつで独立に至ったか興味深かったが詳しくは分からなかった。奥さんがカンボジア人という訳ではなく、オーナー家族はハリヤナ州チャンディーガルに居る。


India GateのオーナーシェフのVikram氏(右)

店舗家賃は1300米ドルで、中心部にあるとはいえ諸物価に比べて意外と割高な印象。その他一人現地の女性をパートで雇っていて、経費は決して安くない。タンドールは材料など全てシェムリアップで揃えた自作。内装なども可能な限り自分の手で施したという。料理に使うベーシックな食材は当然地元で仕入れるが、マサラなどカンボジアで一般的でないスパイス類の仕入先としては、年に一度程の割合で帰国するインドから直接持って来る他、時々インドから郵送してもらう事もある。またプノンペンにパキスタン系の食材卸業者が居るそうで、そこから購入する場合もあるという。


India Gateで食べたエビカレーのセット(Prawn Thali / 8USD)

New Delhi
India Gateオーナーの話では、シェムリアップにもう一軒、New Delhiというガルワール出身者が経営するレストランがあると聞き、後日食べに行った。New DelhiはIndia Gateよりも若干古く8年以上、シェムリアップで営業しているという。オフシーズンのためオーナーは店には出ていず、代わりに20代半ばとおぼしきイケメンの息子さんが丁寧に接客してくれた。また若いカンボジア人のオーナー夫人も一緒に店内にいた。味も脂っこくなくて美味しい。日本人観光客/インド系の観光客もたびたび訪れるという。



ちなみにガルワール出身者に出身地を聞くと、デリーまたはデーラードゥーン(ウッタラーカンド州州都)と答えることがある。それはこちらがガルワールという地名を知らないだろうという配慮であったり、勤務地がデリーにあったということだったりする。


小ざっぱりとして居心地の良いNew Delhi店内。

Taste of India
パンジャーブ系のオーナーによって経営されている。ただし訪れた時はオフシーズンのためオーナーはインドに帰国中で不在だった。


店内にはマレーシアかインドネシアからと思しきツーリストが食事していた。

奥の方にインド系とおぼしき二人組が居たので、当初オーナーかと思って話しかけたら単なる客だった。が、元々ボンベイ生まれでありながら、現在は中欧に在住しているという医者だった。カトマンドゥやタイなど旅しながらシェムリアップに来ているという、なかなか出会ったことの無いタイプのインド人だった。ちなみにここのオーナーの兄弟は、同じ市内でCurry Walaという北インドレストランを経営している。



Maharajah


Maharajahという店名ではあるもののオーナーはパキスタン人。13年前、当時オランダに住んでいたオーナーのアフマドさんはフランス人の彼女を伴って、UNTACの活動に参加していたパキスタン軍の親戚の訪問も兼ねてカンボジアに来たという。その際アンコールワットなどの観光資源があるにも関わらす飲食関係が充実していない事に着目し、その後も何度かカンボジアを訪れたのち、シェムリアップで開業したという。彼がここに来た当時から残っているのはLittle IndiaとTaj Mahalの2軒のみだが、現在では13軒ものインド系飲食店が存在する。ちなみにLittle IndiaもTaj Mahalも共にオーナーはパキスタン系。このうち、シェムリアップで現存する最古のインド系レストランがLittle Indiaであるそうだ。


Maharajahのオーナーであるアフメド氏。人生経験豊富で貫禄あるルックスだがまだ30代。

シェムリアップの中で少なくない店が、元々彼の店で勤務していたスタッフが独立して作ったものだという。ちょうど訪れた日も、パキスタンから二人、新人コックが来ていた。この店は埼玉に長年在住していたという、オーナーの親戚パキスタン人が共同経営者という事だったが、この日はやはりオフシーズンでパキスタンに帰国中という事だった。


Maharajahで食べたビーフ・ビリヤーニ(5USD)とライタ(2USD)。
ボリュームがありながら油で重くなく、かつ滋味深い味わい。濃厚なライタも量が多い。

他にもシェムリアップにはKerala RestaurantやDakshin'sなどといった南インド系のレストランも存在し、是非訪れたかったものの短い滞在期間のため果たせなかった。


街の中心部、立地の良い場所に老舗インド料理店Little Indiaはある。
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2013年07月04日

在バンコク・インド人(プラトゥーナーム編)

以前のインド仕入の際もブログに書いたが、インド行の飛行機に乗る際、最近ものすごく目につくのが、判で押したようにインド系の乗客が皆テレビを預託している事実である。



バンコク発デリー行のLCCであるIndigo Airのカウンターにはインド人客が長蛇の列を成し、しかもそのインド人客の大半は中年男性客である。おそらく預託荷物の重量などでモメているのかカウンターの進み方が他の航空会社に比べて遅い。皆海外に出たことによる躁状態により必要以上に声や笑いなどリアクションが大きい。その彼らのほぼ全員がテレビをワゴンカートに積んでいると言っても過言ではない。

前々からその仕入先がどこなのか気になっていたが、今回プラトゥーナーム周辺をプラプラ散策していた際、そうしたテレビ仕入先を複数見かけた。バイヨークUとTの間あたりの小路に北インド料理屋が多いが、その北インド料理屋が並ぶ間に特に集中的に電器屋が並んでいる。

この電化製品を扱っている店舗を経営しているのはほぼ10割パンジャーブ移民(スィク教徒)の2世または3世である(店舗名の大半がNanakとかGurupeetとかいかにもパンジャーブ系の名称。また壁に必ずスィク教のグルの絵が飾られている)。直接彼らが店頭に立っていなくても、彼らの縁故を頼って渡泰したパンジャーブ系(特にチャンディーガル周辺出身者が多いという)が店に立ってい場合もある。彼らは流暢なタイ語を話す一方、ヒンディー語も理解するので客のほぼ10割を占める北インド人系の客をさばく。北インド系特有のしつこいまでの価格折衝なども同じインド人なので難なくこなしている。その光景は北インドのバザールで展開されるそれとなんら変わりない。


ナームダーリー・スィクの人々。真ん中の人はこの地区の電器店オーナー。

さて、そんな電器屋の中の一つNという店から聞いた話しの一部として
サムソン製 LED 32inch 7,500〜9,000バーツ, LEDに3Dが付いたタイプ 40inch 21,500〜23,000バーツ という事だった。(ソニーは価格が高い上に3Dの性能が良くないのでインドではサムソン製の方が好まれるという)

これらをインドに持って行った場合、サムソン製 LED 40inch で約15,000Rs, LEDに3Dが付いたタイプで約22,000Rsもの利ざやが稼げるという(ちなみにIndigo Air のサイトで確認したら、直近でなく(直近は値段が高騰する)数か月先のデリー/バンコク往復が17,690Rsだった)。

インドにも買い取り屋があり、いつでも持って行きさえすればデリーのカロールバーグにあるグファー・マーケット(中古家電製品の市場として昔から有名)に複数ある買い取り屋が奪うようにして買い取ってくれるという。ちなみにこのグファー・マーケットもパンジャーブ系商売人が多い。

グファー・マーケット特定の業者名など教えて欲しかったがその必要はないという。行けば必ず群がるようにして誰かが買い取ってくれ、上記のような利ざやが稼げるという。40inchを超える大きさのものは基本的にはインドでは輸入NGのようだが、税関へ袖の下を渡すことで入れられるという。バクシーシの相場は画面サイズによるが8,000ルピー〜だという。(ただしこれはインド人の場合なので外国人の場合はどうなのか不明)


レストランから電器屋に商売替えしたことが如実にわかる外観。

昔タージマハルで有名なアーグラーなどで『この宝石を日本に持っていけば何十倍にもなる』といった分かりやすい詐欺が横行したが、この場合はテレビであるし、インドで売るなどと思わなくてもインド人の友人にプレゼントしたらさぞ喜ばれるに違いない。32inch 7,500バーツ〜というのは日本で買う場合を考えても安い。今度インドで業務を手伝ってくれているインド人に買っていこうかな…などと夢想する。

さて夜になってこのエリアを徘徊しているとナムキーンや豆をカゴに入れて歩き売りする、インドでも都市部では今時見かけないインド人が居た。話を聞くとUP州ゴーラクプールから親族を頼って3ヶ月前にタイに渡ってきたが、タイ語も分からないという。こうしたナムキーンや豆の材料はこの地区のパンジャーブ人から仕入れているという。インド人が在タイ・インド人からモノを仕入れてインド人相手に商売をして成り立つという、それ程までにインド人密度が高い地区であるという事なのだろう。


バンコクで見かけたナムキーンワーラー。雨がパラついていたため頭にビニール袋を被っている。

さらにナムキーンだけではビールのアテに寂しいと思い、立ち並ぶ屋台通りをしばらく歩くと、タイ料理の惣菜屋台に並んで個人的に毎度おなじみのパコーラとかサモサを売っているインド人が混じっていた。で、興味本位でついパコーラを注文。


タイ人のタイ屋台に混じってパコーラ屋台が忽然と現れる。

話を聞くしと彼もチャンディーガル出身のスィク教徒で、タイ在住8年という。この地区のインド系は昔から住んでいるパンジャーブ系が多くて居住人口の大体半分ぐらい、後の半分は北インド系(UP州ゴーラクプル)のヒンドゥーその他だろうという事だった。そうした北インド系のオーナーがインド料理店やゲストハウスなど開き、次第にインド本国からの観光客も流入するようになり、さらにそういうインド人観光客向けの商売が広がっていったという事だろう。

別の日、元々インド人街として知られているパフラット地区に行った。パフラット地区にはかつても決してインド人でにぎわっているという程のマーケットではなかったが、従来に比べてさらにこじんまりとした印象。とは言えここでも約2軒、テレビなど家電を売る店を見かけた。昔から商売をしているという日向ぼっこしているパンジャーブ人老人に、かねがね疑問だったなぜプラトゥーナームにこれ程インド人観光客が集まるのか聞いたが理由は分からないという。中にはパフラットに住んでいながらプラトゥーナームなど行ったことが無いなどという老婆も居て驚いた。

オフィスなどを構えたり、高級飲食店などを構えたりするのにはプラトゥーナーム地区よりも在バンコク・インド人はスクムビット地区を好むという。ただスクムビット地区よりも若干ホテル相場が安く、お土産や手頃な価格で販売される衣料品などの市場があるプラトゥーナームが、おそらく口コミなどでインド人観光客に広まり、こうしたインド人観光客の増加に伴い商機を見てパフラットからプラトゥーナームに進出していった二世・三世のパンジャーブ系、という構図なのだろう。もちろんインド系の観光客は単純に在インドだけでなく、在シンガポール/マレーシアのインド系の観光客も増加しているという。彼らは南インド系が多いため南インドのメニューも備えているレストランが少なくない。

あるインド系住民によると、その昔、この地区に売り子としてヒンディー語のできる在ビルマ・インド系の男性/女性たち(おそらく元来はUP州出身)が出稼ぎに来ていたという。飲食店と電器店が最もインド人観光客を対象とした店舗として目立つ、というか、それ以外のインド系の店舗は皆無に近い。中には飲食店と電器店を兼ねている店まで存在する。


ドーサ・イドリー・サンバールと同じ面にテレビと電化製品の看板。
客が買いたいものを売るのが商売の基本。

インド人観光客の増大に伴い、決して安くない(肉系のカレー一皿で大体200バーツ前後する)インドレストランが食事時になると満席状態になるのを見たこともある。インド人観光客はタイに行ってもインドレストランで食事をする場合が多いので、インドレストランも増加傾向にある。またオーナー変更による改築も見られる。


改装中のインドレストランBombay Dreams。
いろんなボリウッド映画スターの肖像写真が看板や外装にちりばめられている。

プラトゥーナーム地区にしてもパフラット地区にしてもオーナーはパンジャーブ系の場合が大半だが、調理しているのはほとんどガルワール出身者(の中のテーリーという地区)である。彼らの中には直接デリーなどインド国内のホテルなどからタイに招へいされた人もいるが、例えばシンガポールやマレーシアなどのインドレストランで勤務した後、バンコクに来た人もいて、そういう人たちはシンガポール/マレーシアで好まれるスタイルのインド料理やマレー料理なども調理出来るため重宝がられる。
posted by asiahunter at 18:35| Comment(0) | ■東南アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする