2010年05月31日

CNCアランゲトラム

いつもお世話になっているインド舞踊CNCさんからご依頼をいただき、バラタに於けるいわゆる免許皆伝的な意味合いを持つ「アランゲトラム」を日本で行うにあたり、グルであるウマー・ラーオ先生および南インド古典ミュージシャンの方々の送迎・運搬などお手伝いさせていただいた。ウマー先生とは数年前の来日時もお手伝いさせていただいているので面識あるが、やはりインドの一流芸術家特有の崇高なオーラを漂わせているので、ついプラナームが自然と出てしまう。

アランゲトラムとはバラタナーティヤム舞踊家にとって最重要なイベントで、今回アランゲトラムを受けるCNCの皆さんはもちろん、代表の野火先生をはじめスタッフ・関係者の方々も期間中、大変緊迫した雰囲気。
私は主に車の運転担当だったので、なかなかステージそのものを見る機会は無かったが、裏の駐車場が使えたのでインド大使館のホールで行われたステージは見ることが出来た。改装後きれいになったインド大使館には一度だけイベント説明会で地下会議室に行ったことはあるが、ここのホールは初めて入った。このようなきれいで立派なホールが出来ていようとは。以前の薄暗くて狭いイベントスペースと比べようもない程の、正に躍進するインド経済を象徴するかのようなホールだ。



↑ウマー先生によるナヴァ・ラサのデモンストレーション。
インド古典舞踊に於いて最も重要とされるナヴァ・ラサを熱心に解説された。


↑甘くたおやかなハリプラサード氏(中央)による古典ボーカル。
とても三人だけで構成しているとは思えない重厚かつ神秘的な音楽が展開される。


↑白熱したステージ・パフォーマンスを魅せたCNCの古典舞踊の方々。
久しぶりに迫力のある古典ステージを堪能しました。

ステージでは神々しく見えるミュージシャンたちも、近くで接すると皆さん大変気さくな方たちで、ボーカルのハリプラサード氏など車の助手席でカーステにあわせて鼻歌を歌ったりといった、贅沢なひと時を体験する事も出来た。





こうした緊迫したアランゲトラムの一週間をつつがなく成功裏に終了させた記念の打ち上げが新宿のマハラジャで昨夜行われた。アランゲトラムを得たCNCの皆様おめでとうございました。


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2010年05月30日

インドレストランを持つという事

親しくしているインド人に、某インドレストランにマネージャーとして勤務しているS氏がいる。
現在、約8年ほどの滞日歴になるというS氏が持っているヴィザのステイタスは調理師技能者用の就業ヴィザである。このヴィザで当初申請〜取得したインドレストランの厨房でタンドール係りとして数年勤務し、その間に日本語をある程度マスターした。この辺が彼が他のインド人コックと違うところで、調理師技能者用の就業ヴィザを持っているインド系・ネパール系の人々は(同国人中心でコミュニケーションよりも技能が求められる)職場環境的にも(オーナーが借り上げたアパートなどに単独または複数で生活しているため)生活環境的にも外部の日本人と接する必要性が少なく、語学をマスターしようとするインド人コックはむしろ少ない。長期滞在するうちに日本人異性と付き合うようになったり、いづれ独立して自らの店舗を持とうと思ったりといった必然性がなければ、全く日本語を使う必要のない環境にいる彼らは、たとえば5〜6年も日本にいるのに殆ど会話不自由な人も少なくない。
ただS氏の場合、そうした必然性や打算からというよりも純粋に日本への関心、たとえば勤務休憩時間に店のテレビで見る相撲観戦や夜、帰宅してから見るプロ野球ニュースや深夜番組などがきっかけとなって徐々に覚えていった。西ベンガル州出身の彼は、少年時代から兄に連れられチェンナイやハイデラバードなど南インドの飲食店でテーブル掃除ボーイからキャリアをスタートさせた。タミル語やテルグー語など南インドの言葉もこうした勤務の中で覚えざるを得ず、インドの主要言語は大体分かるというその言語理解能力はこうした環境で身に付けていったものなのだろう。こうした人はインドでは決して珍しくはない。


こうして厨房もこなせ日本語もマスターしたS氏は重宝がられ、勤務店を変えながら更に高い給料を求めてゆく。勤務店を変える事は更なる見識・経験を積む上で調理技能者にとって必要不可欠である、というのが彼の持論である。
そして行き着いた先が現在勤務している某店舗。そこでいくらもらっているのかなどといった野暮な事は訊かないが、世間話しをしているうちに、彼が今月はじめにとあるインドレストランのオーナーになっていた事を知って驚いた。立場的には就業ヴィザを持って雇用されている正社員マネージャーである一方、飲食店オーナーとして自らの店も持ったからだ。通常、規則の厳しい日本の企業の場合こうした副業などは禁じられているが、たとえば都内の外資系で働くITインド人の中に自らの飲食店や食材店を持つ人もいて、外国人の雇用主の場合、それほどうるさくないのかもしれない。ちなみにS君もオープン前にすでにオーナーの了解は得ているという(コックやウエイターなど他の従業員には教えていないが)。他にも知り合いのネパール人で長年とび職人として建設現場で働きながら開店資金を貯め、都内某所にインドレストランをオープンしたものの、接客業が苦手なので一切店には出ず、相変わらずとび職人として現場で働いているような人も居る。


(写真と本文は関係ありません)

店舗に関しては、元々都内某所にあるあまり流行っていないインドレストランを居ぬきでそのまま受け継いだ。金がかかるという理由もあって看板(店名)もメニューもすべてそのまま前の店のを使っている。同じインドレストランなどで、時々急に味が変わったりするのはこうした理由もある。S氏は調理師技能者用の就業ヴィザという立場上現在の店舗のオーナーではあるが、表立っての経営という形は今のところとれない。調理師技能者用の就業ヴィザから経営者用のヴィザへと書き換え必要があり、現在それは行政書士を通じて行っている。驚いたのは経営者用のヴィザを所持するためには、自らの会社を設立する必要もあるのだが、設立費用として500万円が銀行口座に入っていなければならない。もちろんS氏にはそんな大金は無いが、あくまでも申請のための見せ金であるので行政書士がこうした金を一時的に貸し付ける。その際に5万から10万の利子というか手数料を取るらしい。現在も不動産業者と賃貸契約関係にあるのは前のオーナーで、基本的には月々の家賃・光熱費などは前のオーナーに払っている形である。彼は基本的にあと数年で永住権が取れるので(正規の在留資格で10年以上継続して日本に滞在している人)、同国人の奥さん名義での法人設立を模索中である。永住権さえ取れれば誰に憚ることなく事業が展開出来る。

それにしても、外国人にとって非常に厳しい条件を乗り越えながら、果敢に日本で事業展開しようとする姿には頭が下がる思いがする。まず資格やヴィザといった行政面での大きなハードルがあり、次にアジア人オーナーには店や住居を貸したがらない物件所有者が多いという生活面でのハードルも高い。言葉や習慣の差といったものもある。インド人オーナーの店というのはそうした困難な道を潜り抜けてきているのである。

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2010年05月27日

アーンドラ・キッチン

昨夜、男4人でアーンドラ・キッチンを訪問した。
たまたま1週間前にも御徒町周辺に用事のあった私は店に立ち寄り、メニューだけ借りてこの日、どんなものを食べようかと研究してきた。

まずは生ビール。そしてビールに会いそうな感じの
・Masala Papad(パパルにみじん切りにした玉ねぎとトマトを乗せたもの)
・Miriyala Kodi Vepudu (骨付きチキンの黒胡椒炒め)
・Mutton Vepudu (羊肉のココナッツ炒め)

このVepuduはほとんど水分を飛ばした硬いグレービーに
肉を絡めたもので濃厚な味わい。写真は失念。


↑非常に大きなMasala Dosa。
ホワイトチャトニーも濃厚で美味い。


Andhra Chepala Pulusu
↑具材は鮭。クリームを効かせたカレーソースが鮭によく合う。


↑Andhra Mutton KurmaとPuri
プーリーとメニュー表記されているが、北インド的な感覚だとバトゥーラと呼びたくなる
大きめのプーリー。濃厚なマトン・コールマもプーリーやチャパティによく合う。
グレードの高い料理を堪能した夜だった。
posted by asiahunter at 20:25| Comment(0) | ■カレー日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

タイ・フェスティバル2010

楽しみにしていたタイ・フェスに先日の日曜行くことが出来た。
統計によれば、代々木公園で開催される外国系のフェスの中で動員数ナンバーワンがこのタイ・フェスだという。何年か前にも来たが、その際時間的に混み合っていたのか、まるでデリーのチャンドニーチョウクのような人間の渋滞にあい30メートル進むのに数分かかるような状態…という記憶があったので、なるべく午前中に着くよう心がける。



渋谷方面の公園入り口にはタイのタクシーやトゥクトゥクなどが展示販売されていて強烈なインパクト。車庫証明不要で公道走行可能。いきなり衝動買いしたくなる…







この土日は天候も正に絵に描いたような五月晴れ。
人手もすでに多く、かき分けながら内部へと進む。




アジア・スーパーストアの出店にて空芯菜とパクチーを購入。
タイでもベトナムでも毎日のように空芯菜の炒め物を食べる。
なぜこの美味しい野菜が日本のスーパーで日常的に売られていないのだろう。


ドリアン・マンゴー・ランブータンといった熱帯フルーツも盛んに売られていた。




大き目の政府系(?)ブースの前でルクトゥンを演奏していた。
哀愁を帯びたメロディーにタイ旅情をかきたてられる。



お目当てであった飲食ブースに到着。
すでに昼近く、人気の店には長い行列が出来ている。



不思議なのは、長い行列が出来る店とまったく出来ない店の差。
見た目・雰囲気・価格などまったく遜色ないのに一方では行列が出来、もう一方では閑古鳥が鳴いている。閑散としたお店を見るのは気の毒で仕方がない。一体、なぜこうも差がついてしまうのだろう。実店舗の評価をすべての来場客が知っているとも思えない。



そのような事を考えつつも、やはり行列の後ろに並んでしまう。
タイのグリーンカレーが目当てだが、バットのなかのサラダも一緒に盛ってもらった。
非常に美味しく、もう一度この長い行列に並ぼうか迷ったほどの味。

posted by asiahunter at 21:48| Comment(0) | ■東南アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月11日

インド家庭料理の真髄

先日、新居に移ったばかりの新婚インド人夫婦宅にて、
朝兼昼食にご相伴に預かる機会を得た。



来日して日が浅く、満足な調理器具なども整っていない中、
北インドの定番軽食であるプーリー・サブジー、付け合せとしてチャトニー、
ブーンディーのライタを出していただいた。
プーリーは揚げたてで、しかもこちらの食べるペースにあわせて
チャクラ・ベルナで伸ばしたドウを手際よく油の中に投じてゆく。
中の空気が膨らんで丸く揚げあがるのに数秒、
こちらが食べ終わるその脇から、空いたお皿に揚げたてプーリーを乗っけてゆく。
見事な段取りであり、手馴れた技である。幼少期から何年も父親などに対して
積み重ねてきたしつけのようなものが感じられた。
ちなみに奥さんは客と夫が食べ終わるまでは自らは食べない。
(インド人女性は客人の前で食事を見せるような事をしない)

これは伝統的な北インド庶民家庭に於ける代表的な客人のもてなし方であり、
インドでも何度か経験しているが、なかなか日本国内でこうしたもてなしのチャンスがない。
ある程度の富裕層になるとサーバントを置いて自らは料理しない夫人も少なくなく、
あるいは夫人も外で働いているような共働き夫婦も増えているので、インド国内でも
こうした伝統的なもてなしを受けることは少なくなっている。
見たところ奥さんは年若い感じだが、しっかりと北インドの家庭の伝統を守っている様子で、海外勤務する程のエリート・インド人男性ならば、こうした伝統的作法をしっかりと身につけた新妻を見合いで娶る事が可能であり、インドの伝統的規範の上で大変優秀な新妻を誇示するがための食事なのでは?と勘繰らせる程のある種の感動に包まれたひと時だった。

なお、上記写真の器などは100円ショップで揃えたそうである。
(ちなみに来日するインド人は100円ショップが例外なく好きなので、
インド人を観光案内される方はぜひ行かれてみてはいかがでしょうか)


posted by asiahunter at 10:35| Comment(0) | ■カレー日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする