■これらインド式朝食は家庭で作られる事も多いが、朝食専門店も存在する。デリーなどでは主に立ち食い形式を取り、活気のある店内は常連で一杯で、料金回収の手間を省くために食券コインを使用している店も少なくない。またそうした店ではテイクアウトも可能で、具材を盛るためのサーラの葉皿も付けてくれる。

■人気店で食べる『チョーレー・バトゥーレ』は絶品で、朝以外も食べたいと思っても大概は朝のみの営業である事が多い。バトゥーレの形状はプーリーを大きくしたようなものだが、食感がプーリーよりもモチモチし、丁寧な店では中にダニヤやメーティなどの香草を練りこんでいる。要はナーンを油で揚げたものと思えばよい。朝にはやや重いようにも感じるが、付け合せのアチャールの酸味が程よい刺激を与え、食欲は増進する。
■日本のインドレストランではなぜかこれら正統派インド式朝食をサーブする店が少ない。それはレストランオーナーである多くの在日インド人たちの価値観が「レストラン=高級」志向なため(ナーンは出すがチャパティはメニーに無い事にも見て取れる)、ストリートフードをメニューに加えるという発想が欠如しているせいだが、『チョーレー・バトゥーレ』などランチメニューとしても充分バリューがある一品と思われるだけに残念至極である。